P.A.Press
2005.10.22

No.4 数と内容の美学

吉原:同期が多いって云うのはいいよね、ライバルがいっぱいいるわけだから。他のセクションにはあんまりないんだけど、アニメーターに限って多いのは、他の人の机を気にして覗くっていう行動なんだよ、当然なんだけど。隣に同期がいて枚数勝負を勝手に自分で設定すると気になるよね。『どうも自分よりもカット袋を返しにいく回数が多いんじゃないだろうか』なんて気になったりすると、ちょっと朝早めに会社に行って、そいつの机に何カット残っているのか数えてみたりして(笑)、ってことはナチュラルにあったよ。

あとね、美学があって、楽なカットはやらない。わざと大変なカットでこの枚数をやると云う美学がある。棚に積んである上から動画を取ることにはなっていたけど、必ず選ぶヤツはいるわけよ。残念ながら作画スタジオでは必ずそう云うことが起こるんだけど、でも俺は大変でちょっと単価が割り増しされているようなカットで一番枚数を上げてた。むしろ、『なんで俺のところに大変なのばっかり来る?』くらいがいいんだ。それが美学だと思ってやってた。『何故かアップ前になると俺の机にいっぱいつ積まれるな、少し認められてるってことかな』と思ってね。

動画スタッフ:飽きっぽいから早いとこ終わらせて違うのが欲しいってのはあるんですけど(笑)

吉原:ま、それもOKだね。むしろいいね、それくらいの方が。こだわりが無いとかさ、淡白さが出ちゃうのもあれなんだけど、でも、動画はこれが出来てればOKってものがあるから、それが出来てれば早く終わらせてもいいよ。

動画のプロもいるけど、原画やってみたいと思うなら、早くクリアしたいよね、動画はね。ウチで原画になるためには少なくとも動画500枚3ヶ月続けると云うラインは引かれているわけだから、今この丁寧な上がりをどうすれば早く描けるかと云うことを考えていけばいい。かなりスピードを意識したほうがいいことは事実。君らはその為にかなりの時間を費やしているよね。朝8時に出社したり、そういうことは本当に関心するんだけど、疲れないように目標を持ってやってもらえればいいんじゃないかな。今のままでがんばって。

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