動画スタッフ:課題をやってみて、まだ原画の動きのポイント、原画と動画を分ける基準みたいなものが判らないんですが・・・
吉原:それが分かったら原画だから。
動画スタッフ:動きにしても1回みんな自分で描いてしまって見てみないと、その間を何枚抜けばいいか分からないので・・・
吉原:それも教えてやれないんだ、これ、何て云うか、こう云うもんだよって云うものじゃないからさ。色々な原画を見ることだよね。色んな原画を見て、ああ、こうしているのかって云うものを自分の引き出しを入れていく。
君は月に300枚の動画をやっているわけだけど、中には月に400枚やる人もいるわけよ。そいつは月に100枚分君より多く情報量を見ているわけ。てことは、君が原画に対して疑問に思っていることの答えを、君よりもカット100枚分早く見つける可能性があるってことだね。だから答えを見つけるために少しでもたくさんの動画枚数をやることは大事なんだよ。答えはその中に隠れているから。
今はポケットに飴玉をいっぱい詰め込んでいるところなんだ、空腹に備えてね。今のうちに多くのものを詰め込むしかないんだよね。ただ、疑問を持つことは大事だよ。今君が具体的に言った疑問って云うのは大事なの。今の動画の実作業にそれが必要かどうかは別だよ。ただ、そう思っていることは大事。それを言える人間は少ないから。それは問題が分かっているって云うことだから、それを持っていれば、動画をやっている最中に答えが見つかってくるよ。『あ、なるほど』、みたいなモノがどこかに隠れているはず。
動画スタッフ:原画に上がったらその機会が無くなるわけですね?
吉原:うん、原画に上がってからアタフタしても遅い。その為の訓練も兼ねて動画をやっているってことだよね。面白いものを描くわけだからさ、早くこれが本職になるよう動画なんかチャッと終わらせちゃって原画になればいいよ。早くこれにいこうぜ。
動画スタッフ:これはレイアウトの下描きだけなんですけど構図の取り方が・・・
吉原:それも、今日こなさなければならない動画のレイアウトは必ず1回見るってことだよ。これもカットをいっぱいこなせばこなすほどパターンをいっぱい見られるってことだ。それで、君が原画で食っていくときにそれが引き出しになっていりゃあいいんだからさ。それと、レイアウトを描くときはまずフレームを書きなさい。それで初めてレイアウトだよ。構図って言うんだったら白い紙にモノを漠然と収めてもしょうがない。