P.A.Press
2023.5.16

【PAおさんぽ日誌 「ストロールとベアフット」】#07 恋、むかしむかし

テーッテッテッテー 走るよ どうも園部です。

『スキップとローファー』第6話はキュンキュンでしたね。
美津未みたく私もなんだかダッシュで去りたい気持ちになって…
ご近所 国分寺市恋ヶ窪の「姿見の池(すがたみのいけ)までチャリンコを転がしてきちゃいました。

今日は天気が良いので、池が水鏡になって空や木々を反射しています。

美津未は今、自分の中で湧き上がる特別な気持ちの正体にワタワタしていると思うので、
こうして水鏡に自分を映して、自分の心を覗き見てみるのもいいかもですね。

もしかしたら途中で妄想が入って、いつものホラーフェイスで水面を見つめ、
周りの人に「早まるなー!」と勘違いされてしまうかもですが…(笑)

ところで、「恋ヶ窪(こいがくぼ)ってロマンチックな地名ですよね。

地名の由来については諸説ありますが、
鎌倉時代、街道沿いであったここら一帯は多くの遊女で賑わう宿場町があり、
恋多き窪地の町だったことから「恋ヶ窪」という地名になったともいわれています。

で、宿場の遊女たちが朝な夕なに自分の姿を映し見ていたこの池は、
その様子からいつしか「姿見の池」と呼ばれるようになったのだそうです。

鏡なんて代物は庶民にまで普及していない時代だったので、
当時の遊女にとって、朝夕の水鏡チェックは乙女の嗜みだったというわけですね。

さて、そんな「姿見の池」ですが、
この池には、ある遊女の“悲しい恋の物語”が言い伝えられているのです…

源平争乱の時世、
坂東武者で名将と誉れ高い「畠山重忠(はたけやましげただ)というイケメンがいました。

鎌倉幕府の初代将軍である源頼朝の下に仕える重忠は鎌倉街道を行き来する途中、
恋ヶ窪の宿で「夙妻太夫(あさづまだゆう)という美しい遊女と出会い、
互いに惹かれ合う2人の間にはいつしかBIG LOVEが膨れ上がっていきました。

でも、そんな幸せな日々も泡沫(うたかた)の夢…。

ある日、頼朝から重忠へ、西国での平家追討の命令が下ってしまいます。
夙妻太夫は “私も一緒に連れてって欲しい” と頼みますが、
重忠は “君を危ない目に合わせるわけにはいかない” と1人で西国へと旅立っていきました。

残された夙妻太夫重忠の無事を祈りながら彼の帰りをただ待ち続けます。
1年、2年…。
ひとり寂しい日々を過ごしていた、そんなある日のこと。
夙妻太夫のもとに通う男から “重忠は平家との戦で討ち死にした” と告げられました。

しかしそれは全くのデタラメ。
その男は夙妻太夫に想いを寄せており、
彼女に重忠のことを諦めさせようと嘘を吐いたのでした。

ところが、夙妻太夫はその嘘を信じてしまい、
悲しみに暮れた彼女は姿見の池に身を投げてしまったのだそうです…。

なんて悲しい結末…でも、なんだか心を揺さぶるものがあるね。
そんな昔のラブストーリーが800年の時を越えて現在まで伝わっているなんて。
身を滅ぼしちゃダメだけど、ぼくもロマンチックな恋と出会いたいわぁん。

その後、夙妻太夫の死を哀れんだ恋ヶ窪の人たちは彼女の墓標として松を植えると、
松は重忠を恋い慕うかのように、彼のいる西へ西へと伸び育ち、
この不思議な一本葉の松はいつしか「一葉松(ひとはまつ)と呼ばれるようになったそうです。

そして、重忠が無事西国から戻り、愛する夙妻太夫の死を知ると、
彼は供養のために無量山道成寺を建立し、阿弥陀如来立像を安置したのだそうです。

皮肉にも悲しいことがあったからこそ、
重忠含め人々は夙妻太夫のことを絶対に忘れまいとして、
ストーリーだったり、“松”や“寺”といった形として、後世へ伝えようとしたのでしょうね。

その想いに応えて、現代に生きる私たちがこうして2人の恋を偲んでいれば、きっと…

鏡よ、鏡よ、水鏡さん。ぼくの運命の相手はだぁれ?

夙妻太夫重忠は天国で幸福な夢の続きの中にいるはずです。
水面に映る太陽もこんなにキラキラ✨していることですし。

あ、コイ見っけ!ほら、レレちゃんの運命の相手ですよ。

………

想いは時を越えて、姿見の池に季節外れの冬が訪れたそうな…。

本日 2023年5月16日(火) 23時から
TVアニメ『スキップとローファー』第7話「パタパタ モテモテ」
が放送です!ぜひご覧ください👞✨

つづく

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